毎月の水道代の、大体の目安はお分かりだと思います。しかし、たまに驚くような金額を請求された経験はありませんか。給水管は床下や地面に埋まっていて、何らかの不可抗力で破裂してしまうことがあります。水道局から多額の水道代を請求されますが、実は「支払う必要があるケース」と、「減額してもらえるケース」とに分かれることをご存知でしょうか。
今回は、高額な水道代金を請求されたら、どう対処するべきか解説します。
目次
水漏れによる水道代を減額請求する方法
減額請求の手続きは、以下のような手順になります。
- ①水漏れの事実(※)を確認する
- ②専門業者に修理を依頼する
- ③修理が完了したら、水道局から「漏水減額請求書」を取り寄せ、必要事項を記入する
- ④修理を担当した業者の請求書や領収書のコピーを取り、種類に添付して地域サービスセンターへ提出する
- ⑤減額の決定を待つ
(※「水漏れの事実」とは、水道メーターから蛇口までの間で、給水管に生じた破損や故障による水漏れを指します。)
普段、給水管はあまり目にすることはありません。万一、給水管が何らかの原因で損傷した場合、水道料金の減額を請求できる制度を設けている自治体は多いようです。減額請求とは、納得のいかない高額な水道料金を減額してもらうための手続きです。自然災害や、使用者にこれといった過失がない場合は、一定の条件を満たしていれば減額の手続きが可能です。
自分が住んでいる地域の水道を管轄している自治体に請求手続きを行うため、あらかじめ自治体の担当部署を確認しておきましょう。具体的な請求手続きは自治体により異なりますので、ここでは横浜市の例にとってご説明しましょう。
【例】横浜市で水道代の減額請求をする場合
横浜市では、「水漏れの事実」が判明した段階で、ただちに使用者に対して修理することを促します。修理が終了してからでないと、減額請求の手続きはできません。水道の使用者、あるいは第三者の過失や故意による水漏れは、水漏れの事実とは認められません。
また、水漏れを分かっていながらほったらかしにしたり、水道局から老朽化した排水管の交換を指摘されながら無視したりした場合も、減額請求はできないので覚えておきましょう。
水漏れの修理が完了したら、水道局から「漏水減額請求書」を取り寄せ、用紙に必要事項を記入してください。この際、確かに水漏れの修理が終了している事実を証明しなければなりません。修理を担当した業者の請求書や領収書のコピーを取り、漏水減額請求書に添付して、自宅を管轄する地域サービスセンターへ持参するか、郵便で提出してください。その後は、同センターの担当者とやり取りして、減額決定の沙汰を待ちます。
基本的な減額請求の手続きは、このようなものになります。自治体によっては、給水管の修理を行った指定工事業者が手続きを代行する場合もあります。
また、減額請求の手続きは、使用者が行うケースでも工事を請け負った業者の法人印が必要になる場合もあるなど、請求する際の要件は自治体により異なります。減額請求を思い立ったら、自宅を管轄する水道局に問い合わせておくとよいでしょう。
水漏れの水道代が減免される条件
水漏れの請求金額が減額される条件としては、下記のようなものがあります。
- 家屋の床下や壁の中に設置あるいは地中に埋まっている給水管の水漏れであれば、減額請求が認められる
- 自然災害による給水管の破損、適切な水道の使用方法を順守していたにもかかわらず、水漏れが生じた場合
設置されている給水管がなんらかの原因で損傷した場合、水漏れが生じます。大抵は部品やパイプが、経年により劣化したことにより起こります。キッチンやトイレ、脱衣所の洗面台など、周辺の水回りで水漏れが生じれば、目につきやすいのですぐに対処は可能です。
しかし、床下に設置されていたり地中に埋められていたりする給水管が損傷して水漏れが起きた場合は、なかなか気づかないことが多く、長い期間、水漏れを放置してしまうケースがあるものです。このようなケースでは、使用者が実際には使用していない水量でも敷地内で放流している以上は使用しているものとみなされ、法外な水道料金を請求されてしまいます。
自分が使ってもいない水道代金を請求されても、納得がいかないのは道理です。とは言え、給水管が自宅の専有区域にある以上、目につかない場所で水漏れが起きていれば支払い義務が生じてしまいます。ただ、無条件に高い水道代金を支払なければいけないわけではなく、状況が理解されれば、請求額を減額してもらえることもあります。
減額請求してもらえる条件は、自治体により異なります。前述した横浜市でいえば、家屋の床下や壁の中に設置されていたり、地中に埋まっていたりする給水管の水漏れであれば、減額請求が認められています。
通常、身の回りで起きた水漏れや給水管の管理に不備がある時には、減額は承認されません。トイレや洗面台、キッチンなど目に触れやすい箇所からの水漏れが原因で水道代が高額になれば、使用者が故意に放置したと判断され、減額請求はできないのです。
片や日常生活をおくる上で、目につきにくい場所にある給水管から水漏れが起こった場合は、請求金額の減額が受理されることは多いようです。自然災害により給水管が破損したり、適切な水道の使用方法を順守していたにもかかわらず水漏れが生じたりした場合は、修理が終了した段階で水道代金を減額できることがあるので、自治体に問い合わせてみるとよいでしょう。
ただしこの場合、水道料金には実際に使用した水の分も含まれるため、全額免除というわけにはいきません。水漏れが生じる前の2カ月から4カ月の間の水道量の平均値を参考にして、その量を超えた金額の50%から70%が減額されるようです。
水漏れ箇所の管理区分を特定しよう
家庭で何気なく使用されている水道水は、道路に埋められている配水管を通り、各家庭に割り振られている給水管に注がれます。給水管ごとに管理者が決められていて、給水管が破損した箇所により、「誰が修理業者を手配し、修理代を負担するか」が決められるのです。このように管理区分をきちんと理解しておくことで、いざ水漏れが生じた時に速やかに修理を手配することができるでしょう。
一般的には、配水管から自宅に設置された水道メーターまでは「一次側」とされ、その地域を管轄する水道局の管理区分と定められています。ここに破損が生じれば、修理の手配のすべては水道局が担当するので、水漏れの連絡だけを水道局にして後は任せておきましょう。
一方、水道メーターから蛇口までの給水管を「二次側」と呼び、水道を実際に利用している人の管理区分となります。水漏れが生じたら、修理の依頼は使用者が行い、それに伴う費用も負担しなければなりません。水漏れしている事実を水道局に告げ、専門業者に連絡して修理を依頼しましょう。
ここで「管理区分が二次側と分かっていても、水道局に連絡しなければいけないの?」と疑問に感じる方も多いのではないでしょうか。
水道局に漏水の事実を報告すると、水漏れがどこから生じているのか、また修理の手配は済んでいるか、ということを尋ねられます。水道局側が水漏れ箇所を聞いてくるのは、水道局としても「水道料金の減額請求の対象となるか否か」を確認しておくためです。水漏れがキッチンやトイレなど、目につきやすい場所で起こった場合には減額請求は不可能と判断し、その旨を伝えてくれることもあります。
また修理の手配が済んでいるかどうかを聞くのは、使用者が適切に専門業者に修理を依頼できないことがあるからです。水漏れ修理の料金は業者ごとに設定が様々で、中には修理後に不当な修理代を請求してくる業者もいるため、トラブルが生じることもあります。
そのようなことのないように、水道局では事前に優良業者を選定し、使用者に紹介してバックアップしているのです。水回りの専門業者は、日常生活ではあまりなじみがないものです。いざ、水漏れが生じて修理を依頼しようとしても、どうしてよいか分からない、ということもあるでしょう。そんな時には、まずは水道局へ連絡して水漏れの事実を伝え、優良業者を紹介してもらうようにしてください。
賃貸物件の管理区分に注意
自らが所有している住居ではなく借家やマンションのような賃貸物件で水漏れが生じると、管理区分はさらに複雑になります。配水管から水道メーターまでの間で水漏れが起きれば水道局の管理区分のため、その際は水道局へ連絡して修理してもらってください。
これが水道メーターから蛇口までの間の漏水であれば、貸主の管理区分になります。水漏れの事実を貸主か賃貸物件の管理会社に知らせて、修繕の申請をしましょう。この際、修理代金は貸主側の負担となります。
水道メーターから蛇口までの間の水漏れであれば、水道料金にも反映されます。管理区分は貸主側にあるので、本来であれば使用者が高額請求された水道代金を払う必要はありません。
このような場合、高額な水道料金を払い、その後の減額請求の手続きは管理区分のある貸主が行います。それでも使用者が高い水道料金を請求されたら、貸主や管理会社に連絡を入れて、漏水によりかさんだ金額を貸主側に負担してもらうよう相談してみましょう。
一方、蛇口から先の箇所で水漏れが起きれば、管理区分は借主ということになります。例えば、蛇口をうっかり締め忘れて水漏れが生じたなど、借主の過失が原因の場合はなどが挙げられます。賃貸契約では、借主は賃貸物件を適切に使用する義務が課せられています。
どう考えても使用者の過失による漏水であったり、水回りの破損に気づきながら故意に放置したりした場合だと、借主の責任で修理を手配しなければなりません。このようなケースでは、監視会社に連絡すれば専門業者を紹介してくれることもありますが、修理代金は使用者が負担することになります。使用者自らが修理業者を手配するのであれば、複数の会社から見積もりを取り、修理代金を比較検討すると良いでしょう。
水道代が高くなる水漏れは定期点検で早期発見
水漏れが生じると、時には2ケタに及ぶ高い水道料金を請求されることもあります。それでも、言われるがまま高額な代金を払ってしまう方も多いのではないでしょうか。
使用者に過失がない場合には減額請求できる可能性があるので、すぐには請求に応じる必要はありません。水漏れが生じたら、まずは水道局や自治体に状況を話し、今自分が直面している事態が減額請求の対象となるかどうかを確認してみることです。
不意の水漏れに遭遇して、目の飛び出る水道代を払わなくて済むように、常日頃から漏水の有無を確認しておくことは重要です。専門業者に頼んで定期的に点検を受け、水道管や蛇口回りを適切に管理しておくことをおすすめします。